僕は、電話応対が苦手でした。
社会人になりたての頃は、先輩たちが手際よく応対したり、なにも身構えずに電話をガンガンかけている光景に衝撃を受けました。
社会人経験が長くなると、抵抗感は薄れてきます。
ですが、本質的に「電話が苦手」はなくなりませんでした。
プライベートでも、なるべくメールかLINEを使っています。
なぜ、HSPのひとは「電話が苦手」なのか?
HSPが電話応対が苦手な理由
仕事の手が止まる
電話が鳴ると、必ず「ドキッ」とします。
以前いた職場では、気づきやすいようにと、着信の音量が大きかったのでなおさら「ドキッ」としていました。電話を取る前にしていた仕事の手を止めて、電話で引き受けた仕事をこなす。その後また、以前の仕事に戻る。
HSPは、集中力が高い分、仕事の切り替えが苦手な傾向があります。
再び高い集中力を発揮するまで、さらにエネルギーが必要になります。
相手の状況が分からない
声の感じから、相手が落ち着いているのか、焦っているのか、怒っているのか。相手の状況を探ろうとします。
以前の会社で、電話を受けた段階で相手が怒っていることがよくありました。
そんなときは、さらに怒らせてはいけないと、いつも以上に聞き間違いや言い間違いに気をつけて、「相手の機嫌」に細心の注意をはらいます。
電話が終わったあとは、しばらくぐったりして、余韻がしばらく続きます。
他のひとの電話が気になる
知らず知らず、近くで電話しているひとの会話を気にしてしまいます。大体の内容がわかる会話なら、なおさら気になります。
それが、自分が手伝える仕事内容であれば、関連する資料を渡したり、相手が業務をたくさん抱えてる様子なら、声をかけて自分が引き受けたりします。
HSPは、助けを求められる前に「困っているかも・・」と考えて、先回りして仕事を引き受けてしまう傾向があります。
対面より情報が少ない
対面の会話だと、表情やしぐさで相手の意図を察することができます。しかし、電話だと相手の声しか情報がありません。
HSPは非HSPに比べて、相手から受け取る情報量が多いのが特徴です。
相手の意図を汲み取ろうと、いろいろなところに意識を集中しています。そのため、情報が制限された状態は、情報不足で不安な気持ちになります。
全部うまくやらなくてはと思う
相手の声が聞き取れなくて、もう一度聞き直すのが申し訳ないと感じます。
なので、「一言一句聞き漏らしてはいけない」と、意識を全部電話の声に集中します。
それが、「誰かへの伝言」だった場合、さらに集中します。
聞き間違いや、自分の受け取り方が違って、行き違いが起きてはいけないと思うからです。メモを走り書きして、電話が終わったあとに、読みやすいように順序を変えたり、要点だけをまとめて清書します。
デスクに行って、邪魔にならないけど、確実に目にとまる場所に伝言メモを置くところまで、かなり意識を集中するので、その間に同時に他の仕事をすることができません。
入社したての会社はさらに難しい
職歴が長くなると、ある程度相手がどんな用件か察することができます。
ですが、新しい会社に入社したばかりだと、相手の意図してることがすぐにわからなかったり、聞きなれない言葉が出るので大変さは増します。
以前勤めていた会社で、売り込みの営業電話と分からず、取引先の大事なお客様だと思い、熱心に対応していました。
「誰かへの取り次ぎのとき」も同様です。
はじめて聞く会社名や担当者名がうまく聞き取れず、申し訳ないと思いながら電話を取っていました。
そして、なんとか通常の電話は頑張れても、「クレーム電話」となると難易度はかなり上がります。
HSPがもっとも苦手な電話「クレーム対応」
批判やクレーム、言葉の攻撃を受けたとき、どのように対応すれば良いか?心理学者ネルソン・ジョーンズは、次の5つの方法があると述べています。
おたくの商品、壊れちゃったんだけど!これって不良品じゃないの?お金返してよ!
反射の戦術
相手の言葉を「要約」して返す方法です。
「話をちゃんと聞いていますよ」というメッセージを送ることで、相手の怒りがこれ以上増幅しないようにします。
浴びせられた言葉を繰り返すことで、相手を冷静にさせる効果もあります。
商品が動かないので、返金を望まれているということですね?
分散の戦術
相手の主張を「部分的に」認める方法です。
一部を認めることで、相手の怒りが少しはゆるむ場合があります。
よく分からないまま、全面的に認めて謝るのは得策ではありません。
商品が動かなくなってしまったことは申し訳ありません。ですが・・・
質問の戦術
質問して話を掘り下げる方法です。
「この人は聞いてくれている」と感じてもらえます。
そのうえ、解決の糸口が見つかる場合や、相手に考えさせることで、怒りをそらす効果もあります。
商品はなぜ壊れたと思われたのですか?
延期の戦術
相手の勢いに吞まれそうなときは、即断を避けて考える時間をもらう。
相手の主張や要求を冷静に考えることが大切です。
お話はよく分かりました。社内でも少し検討させていただけないでしょうか?
フィードバックの戦術
相手の様子を伝える方法です。
批判をしているときは、自分の姿は気にしていないものです。
その姿を客観的に認識させると、相手はハッとして勢いを失うことがあります。
おっしゃることはわかりますが、そんなに強い言い方をされなくても・・・
HSPが電話の後やってしまう「反省会」
必要以上に反省しない
非HSPの人は、自分が言ったことを逐一振り返ったりしません。
それゆえ、スラスラとしゃべることができます。
これに対して、HSPの人は、常に自分の言ったことが正しかったのかを振り返っています。
- さっきの言い回しは合っていたのか?
- 何か誤解を招くような言い方ではなかったか?
- 伝えたかった意図が、うまく相手に伝わっているか?
- 気にさわるような言い方をしなかったか?
- 「もっとこう言えば良かった」「あのときこう返答すべきだった」
心の中で反省会が始まります。
そして、反省会には「自分を批判する内なる声」が参加しています。
非HSPの人の頭の中にも、「批判的な内なる声」は存在しまが、その声よりも行動に注目しているので、非HSPほど心に影響しません。
「反省会」の対処のしかた
実際はなにも失敗していないのに、「反省会」が勝手に開催されてしまう。
影響力が強い「批判的な内なる声」は誰なのか?
味方なのか? 敵なのか?
それは、「理想が高い自分の声」です。
「もっとうまくやれたはずだ!」
「おまえは、こんなものじゃない!」
理想が高すぎるゆえに、出来なかった自分を責め続けます。
周りから見たら、まったく問題なくうまく出来ているのに、100点じゃなかったことに自分が納得していないんです。
80点取れていれば十分。
自分は、完璧ではないけど、うまく出来ているし合格点を取れている。
「これが自分の実力だ」と認めましょう。
それは、諦めではありません。
「理想の自分」があることは、素晴らしいことです。
ですが、あくまで「理想」であり、その通りじゃないからと責める必要はないということです。
HSPが仕事で「自信を高める方法」
①銀行に「自信の預金口座」があるものと想像する
②何かを出来たときに、金額を加えていく
「自信の硬貨」を口座に入れるところを思い描きます。
ノートに預金額を記録すると分かりやすいです。
どんなときに硬貨を入れるか?
- 自分の気持ちを信頼し、尊重できたとき
- 前向きな気持ちになったとき
- いやな電話をかけられたとき
- 他人からの批判を、全肯定も全否定もせずに、客観的に検討できたとき
- その批判にどう応じるか決められたとき
何かに失望したら・・
たとえば、自分のせいで他のひとに迷惑をかけてしまったら。
数日間落ち込むのは、しかたがありません。その後に、今後の仕事で挽回しようと思えたら。
「札束」を口座に入れて、気持ちを切り替えて仕事に取り組みましょう。
何かするときは、自信のノートを眺めるか、巨額の残高を思い浮かべると自信が湧いてきます。
まとめ
僕は以前「ホテルマン」をしていたとき、「コールセンター」で働いていたときに、毎日何件も電話を取っていました。
途中本社勤務になり、完全にデスクワークをしていた時期もあります。
自分がHSPと知る前は、周りのひとも度合いは違っても「電話は大変な業務」だと思っていました。
ですが、非HSPの中には、まったく抵抗がないひともいるようです。
僕が電話応対が苦手な理由は、いろいろなことを気にしてしまうHSPの気質に関係していると思います。
HSP気質が電話応対が苦手な理由
- 仕事の手が止まる
- 相手の状況が分からない
- 他のひとの電話が気になる
- 対面より情報が少ない
- 全部うまくやらなくてはと思う
コールセンターにいたときは、毎朝の初入電がいつも緊張していました。
この初入電は、社歴が長くなっても変わらない緊張感でした。
振り返ると電話そのものに抵抗感があり、向いている仕事ではなかったと思ってます。
この記事でご紹介した、「反省会の対処法」と「自信を高める方法」が、少しでも参考になれば嬉しいです。
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