完璧を求めるあまり、取り掛かるのに時間がかかる。
自分に厳しくするのと同じように、他人にも完璧を求めてしまう。
完璧主義者は、「責任感があり」「仕事の完成度が高い」というメリットがあります。
しかし、ひとりで仕事を抱えてしまったり、常に時間に追われるというデメリットもあります。
完璧主義者がやりがちな行動に当てはまるひとは、要注意です。
HSPに完璧主義者が多い理由
「自尊心の低さ」が原因です。
なぜ、HSPさんは自尊心が低くなるのか?それは、「世間が評価する基準」が「HSP気質」とは、逆なことが多いからです。
HSPは、人口の5人に1人と言われています。
常に、多数派の評価基準に合わせようと、無理やり本来の自分とは違うひとになろうとします。
結果、うまくいかずに、さらに自尊心を下げることを繰り返します。
完璧主義者は、自分の長所を伸ばすよりも、短所を克服しようとします。
すると、出来ない自分と正面から向かい合い、自分の欠点ばかりに注目してしまいます。
自分には長所なんてない。
こんな風に思い込み、自尊心を下げる悪循環になります。
これから紹介する行動を取っているひとは、完璧主義者かもしれません。
完璧主義者がやりがちな行動
自らマルチタスクにする
本来は、ひとつずつ目の前の業務に取り掛かればいいのに、頭の中で同時にいろいろ考え過ぎて、マルチタスクの状態をつくり出しています。
これから取り掛かる仕事のリスクを考えてシミュレーションするのと同時に、やり終わった仕事に不備がなかったか思い返す。
- 明日の会議の前に、あの人に連絡しておこう
- 来週の訪問先にアポ取りをしておこう
- 午後の訪問先の資料に目を通しておこう
- 朝確認したメールの返信をしなきゃ
- さっき提出した資料に不備がないかな
マルチタスクになると、仕事を切り替えるたびに頭のギアチェンジをする必要があります。ギアチェンジには相当エネルギーを消耗します。
さらに、集中力を高めてスピードを出すには、さらにエネルギーを消耗します。
実際取り掛かっている仕事はひとつなのに、頭の中でマルチタスクの状態をつくりだしています。
メールやスケジュールを何度もチェックする
完璧主義のひとは、一日に何度もチェックします。
重要なメールが来ているかもしれない。
スケジュールが更新されているかもしれない。
すべてに、丁寧に完璧にこなそうとするあまり、時間が少しでも空くとチェックする習慣がついています。
また、メールで連絡がきたから、メールで返さないと失礼という気持ちから、電話で直接話せばすむ内容を、メールで伝えて何度もやりとりすることになったりします。
雑用も全力でこなす
メールを返信するだけでも、いろいろなことが気になり完璧を求めます。
- 言い回しにおかしなところがないか
- 簡潔に書かれているか
- 意図がちゃんと伝わるか
- 冷たい印象になっていないか
- 逆に距離間を詰めすぎた文章になっていないか
- 誤字脱字がないか
- 句読点は適切か
報告書に対しても同じです。
最後に誤字チェックを過剰に繰り返すなど、無意識にミスの回避を目指します。
重要な仕事ほど先延ばしにする
完璧主義のひとは、最初から完璧をイメージして取り組みます。
報告書を作成するにしても、完成した素晴らしい報告書をイメージします。すると、これからとりかかる仕事が頭のなかで押し寄せてきます。
過去に上司からダメ出しされた、嫌なイメージも一緒によみがえってきます。
また、前回と同じようなダメ出しをされるのかな・・。
同じことを言われないために、次はもっとこうした方がいいかな・・。
想像のなかで、完璧な報告書を作るという仕事が、どんどん大きくなり気が重たくなります。苦手で気が重たい仕事は、心理的負荷が大きいため、先延ばしにしてしまいます。
弱点を克服しようとする
完璧主義のひとは、「マイナスの部分」に目が行きがちです。
なので、自分の欠点が気になって、克服しなければいけないものとして捉えています。
欠点修正、弱点克服はバランスが求められる組織社会においては必要です。
しかし、弱点克服するには、常に自分の欠点と向き合い続けなけばなりません。
いつも、自分の弱みばかりに目を向けていると、ストレスがたまり、自己嫌悪におちいることになります。一方で、上手に力を抜くひとは「強み」を活かそうとします。長所を徹底的に伸ばすことに力を注ぎ、結果的に楽しく成果を出すことができます。
頑張ること自体に美徳を感じている
完璧主義のひとは、仕事の「過程」に美徳を感じています。
どれだけ頑張ったかを、時間で計っています。
時間をかけないで、苦労しないで、頑張らないで成果を出すことを「ずるい」「邪道」「楽している」「怠けている」と考えています。
一方で、上手に力を抜くひとは「がんばらないで結果が出ること」に美徳を感じています。
少ない労力で、大きな結果を出せるのは、アイデアや工夫ができるということなので、実はとても素晴らしいこと。
完璧主義のひとは、頑張ること自体が仕事なので、「効率的な仕事の進め方」や「新しいやり方」が見えなくなっていることがあります。
上手に力を抜くひとは、プロセスではなく「目的」を意識しています。
「目的」を達成するために、いつも通りのプロセス崩して、最善の手段を取ることができます。
変化することを恐れる
人間は変化を恐れ、現状維持を好みます。
慣れ親しんだ場所、人間関係、仕組み、やり方に安心します。
完璧主義のひとは、これに加えて「失敗を恐れる」ので、変化に対する恐れが強い傾向があります。
そのため、今までのやり方が古く、非効率になっていて、周りが新しいやり方に移行しても、自分だけは古いやり方にしがみついていることがあります。
変化しないことは、安心感を得られますが、退屈さや成長感のなさも同時に味わってしまいます。
いつもと違ったやり方をするのは、失敗のリスクや不安を感じますが、成長する機会がたくさんあります。
「すべて自分のせいだ」と思い込む
何かトラブルが起きたときに、完璧主義のひとは、すべての責任は自分にあると考えます。
冷静に考えるとさまざまな原因があるはずです。
- スケジュール管理不足
- 連絡ミス
- チェック体制の甘さ
- 上司の管理不足
- 自分の能力不足 など
一見、責任感が強いことは、良さそうに見えます。
しかし、トラブルが起きるたびに、「すべての責任を背負い込む考え方」はとても危険です。
精神的なダメージが大きく、よく眠れない日々が続き、集中力が低下し、普段は絶対しないようなミスを犯してしまうことにもなります。
ミスが起きた時に落ち込むのは、責任転嫁せずに誠実に見えますが、大切なことは次の対応策です。
自分の責任以上に落ち込むことより、これからどうするかが重要です。
完璧主義で辛いのに手放せない理由
完璧主義は悪いことばかりではなく、良いところもたくさんあります。
手放させないのは、この「完璧主義のメリット」をすべて失うのではないかという恐怖があるからです。
完璧を手放せない理由は強力です。
長年そうやって生きてきたし、「完璧主義を手放すこと」と「手を抜くこと」の違いが分からない。
いい加減な人間になって、周囲から見放されるのではないかという怖さがあります。
いいかげんだと言われるのではないかな。
結局、自分に甘いだけじゃないかな。
しかし、力の入れどころと抜きどころを見極めて、より無駄をなくし、最大の結果を出すことができればメリットを失うことはありません。
周囲からの評価や仕事の成果は、結果的に高まります。
完璧主義を貫けない現状
プロスポーツ選手や、職人になると、完璧主義が良い方に働き、ひとつのことを極める大きな力になります。
けれど、一般のビジネスパーソンは、ひとつの仕事に没頭できる環境ではありません。
同時進行で、仕事をこなさなくちゃ!
今の仕事が未完成なのに、次々と他の仕事が舞い込んでくる・・
常に優先順位を変えて、取り組まなければならない、時間にも制限がある環境で、完璧主義を貫くことは、自分を苦しめることになります。
完璧主義の人は、人に仕事を任せられず、すべて自分ひとりでやり遂げようとする傾向があります。
深夜まで残業して、休日出勤して、家でも仕事のことばかり考える。自分が納得できるまでやりたいという気持ちが、自分をどんどん追い詰めていきます。
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