人間関係に不安を感じるけど、これって何かの病気なのかも・・
病気という言葉に、強い抵抗感と拒絶反応があると思います。ですが、自覚をしないまま、無理をして過ごすことはとても危険です。
簡単な診断チェックで、病気の傾向がないか確認しましょう。
人間関係で不安に感じる「社交不安症とは」
人と接する場面に強い不安を感じ、日常生活に大きな支障が生じるという病気です。
日本では、対人恐怖症と呼ばれていたものが、世界的にもその存在が認識され、「Social Anxiety Disorder」という言葉を日本語に訳し、逆輸入されたものです。
恥をかきたくない
などと過剰に思い込むあまり、行動がぎこちなくなって、ますます失敗が増えます。
社交不安症の人の割合
実はアメリカの方が多い。
全人口の約6.8%が社交不安症。
日本では0.7%
10代半ば~20代前半が多いのが特徴。
成人になってから発症する場合もある。
自分の性格、欠点と思い、治療するということを考えないのが現状です。
他の精神疾患(うつ病、その他の不安症、アルコール依存など)を合併することが多いので、放置せず、積極的に対処しましょう。
社交不安症になる原因
社交不安症を発症してしまう原因は、はっきりわかっていません。
これらが複合的に影響していると、考えられています。
- 自分に自信が持てない
- 自意識過剰
- 遺伝
- 環境
社交不安症につながる、脳の機能異常としては、外部刺激に対して、不安や恐怖を発現する扁桃体が過剰に活性化していることがわかってきています。
また、抗うつ薬が有効であることから、脳内でセロトニンという神経伝達物質が、減少している可能性が推測されています。
強い不安を感じるメカニズム
【1】対人場面での失敗など、過去のネガティブな経験
不安に対しての感受性が強い、完璧主義のような性格
【2】人に会うときに、また同じことが起きるだろうと悪い予想をしてしまう(自動思考)
【3】不安や緊張を隠そうとする考え(自動思考)
・緊張していることを相手に悟られる
・ばかにされ、嫌われてしまう
・変な人だと思われる
・挙動不審に思われる
【4】よけい緊張する、不安が大きくなる(感情)
【5】人と接するのを避けようとする(回避行動)
【6】人と接する際の不安がさらに大きくなる(感情)
【1】に戻る。の繰り返しになります。
社会不安症の克服方法
「他人の目を過剰に気にする」ということは、「他人から見た自分のことを過剰に気にする」ということです。
会話などの経験を積んで、他人との接触に慣れていく。
実は人と話すのが苦手で・・・
と最初に打ち明けると、楽な気持ちになれます。
自分に自信を持つために、自己評価を高めましょう。
自己評価を高める方法
自己評価が低い人は、対人認知欲求が強い傾向があります。
対人認知欲求とは
「自分がどう思われているのか」と、他人の言動に注意や関心を向けること。
①「できたこと」をノートに書く
どんなに小さなことでも、一日の終わりに「自分ができたこと」「やったことだけ」をノート書き出してみましょう。
小さなことでも、達成感や積み重ねることで自己評価が高まります。
②目標設定を小さく、細かくする
大きな目標は、失敗したときに自己評価が下がります。最初は小さな目標を達成して、少しずつ前進することで自己評価を保つことができます。
社交不安症の「症状をチェック」
次のチェックテストで、あなたの今の社交性不安症の症状をチェックしてみましょう。
この一週間に、あなたが感じていた様子に最もよく当てはまる番号を、項目ごとに1つだけ選んで記入してください。
恐怖感/不安感
0:全く感じない
1:少しは感じる
2:はっきりと感じる
3:非常に強く感じる
回避
0:全く回避しない
1:回避する(確率1/3以下)
2:回避する(確率1/2程度)
3:回避する(確率2/3以上または100%)
恐怖感/不安感 0 → 3 | 回避 0 → 3 | |
---|---|---|
1 人前で電話をかける | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
2 少人数のグループ活動に参加する | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
3 公共の場所で食事をする | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
4 人と一緒に公共の場所でお酒(飲み物)を飲む | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
5 権威ある人と話しをする | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
6 観衆の前で何か行為をしたり話しをする | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
7 パーティーに行く | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
8 人に姿を見られながら仕事(勉強)する | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
9 人に見られながら字を書く | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
10 あまりよく知らない人に電話をする | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
11 あまりよく知らない人達と話し合う | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
12 まったく初対面の人と会う | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
13 公衆トイレで用を足す | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
14 他の人達が着席して待っている部屋に入って行く | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
15 人々の注目を浴びる | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
16 会議で意見を言う | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
17 試験を受ける | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
18 あまりよく知らない人に不賛成であると言う | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
19 あまりよく知らない人と目を合わせる | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
20 仲間の前で報告をする | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
21 誰かを誘おうとする | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
22 店に品物を返品する | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
23 パーティーを主催する | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
24 強引なセールスマンの誘いに抵抗する | 0 1 2 3 | 0 1 2 3 |
※評価のめやす(総得点0~144点)
30点 | 境界域 |
50~70点 | 中等度のSAD(社交不安症) |
70~90点 | さらに症状が著しい。通常、仕事や社交面に支障を来している。 |
90点以上 | 重度のSAD。通常、仕事や社会活動に大きな支障を来している。 |
社交不安症の症状の重症度や、治療の効果を評価する尺度としてLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)が広く使用されています。
このチェックリストは、日本語版のLSAS-J(エルサス-ジェイ)と呼ばれています。
まとめ
社交不安症はどうやって診断されるのか?
精神科、心療内科などの医療機関において、本人の訴えや、あらわれる不安症状など「問診」によって診断が行われます。
医療機関を受診する前に、自信で症状をチェックして、医療機関に持参することもできます。
正確に伝えなければという負担が減るので、気持ちを楽にして受診できます。
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