HSPとは(Highly Sensitive Person)の頭文字をとった略です。
これは、90年代のはじめ、繊細の人について研究をはじめたエレイン・アーロン(Elaine Aron)博士によって付けられた「人の気質」を表す名称です。
この本の著者の、武田友紀さん自身もHSPです。HSP専門カウンセラーで、日本全国から相談者が訪れています。
本の中で武田さんは、HSPのことを親しみを込めて「繊細さん」と呼んでいます。
繊細さは「克服するもの」ではなく、「長所」として捉えて、生まれ持った能力を活かすことができるという考えのもとに書かれた本です。
「中田敦彦のYouTube大学」でも、この本が紹介されました。
HSP=繊細さんは、生まれ持った気質
全人口の5人に1人の割合で「繊細さん」の気質を持っています。
人間以外の動物にもその気質は見られます。
周囲の変化にいち早く気づくことが出来る特性は、種の存続に貢献してきました。
ですが、危険を察知する能力は、ネガティブな感情にも敏感に反応してしまいます。
周囲に振り回されやすい繊細さんは、「私はこうしたい」という考えを持つことが大切です。
環境からのストレスを防ぐ
繊細さんはわずかな光や物音からも、さまざまな情報を感じ取ってしまうため、そこからストレスを受けていることもよくあります。
自分を変えよう、努力しようではなく、まずは物理的にシャットアウトしたり、環境の方を変えることが基本です。
- サングラスや伊達メガネで、必要なもの以外見えなくする
- ノイズキャンセリングイヤホンや耳栓で、周囲の音を遮断する
- マスクをしたり、好きな香水をつけることで、イヤな匂いを遠ざける
楽しいイベントも、刺激のひとつになるので、イベントの後は、何もしない休みの日をつくりましょう。
非・繊細さんとの違いを知る
相手の感情を読み取りやすく、場の雰囲気を読みすぎてしまう繊細さんは、どのように人間関係を築いていけばよいのか?
大抵の繊細さんは、非繊細さんと感じ方が違うということを分かっていません。
そのせいで、言葉にしなくても察してもらえると思ってしまい、すれ違いに傷つくことがあります。
感覚の違いは、繊細さんの想像をはるかに超えているため、
実は相手は、何も感じていないの?
と、考えてみることが第一歩となります。
自然と気配り出来てしまう繊細さんからすれば、非繊細さんは配慮の足りない人に見えやすいです。しかし、その人も意地悪をしようとしているのではなく、繊細さんの気配りのレベルが、他の人と比べて高すぎるせいです。
そのことを自覚できていると、気持ちが楽になります。
繊細さんの5つの力
繊細さんには、共通する5つの力があります。
- 感じる力
- 考える力
- 味わう力
- 良心の力
- 直感の力
料理、計算、計画性など、自分の強みを掛け合わせると、より強みを発揮できます。
繊細さんの強みは「感じる」「味わう」といった、心と体を土台に発生しています。全力を出すには、自由に感じていい安心できる場所にいることで、力を発揮しやすくなります。
マルチタスクを避ける
繊細さんが消耗しやすいのは、体より心の方です。
それは、考え疲れや緊張疲れが引き起こしているものです。
「ひとつひとつにしっかり取り組む傾向」にある繊細さんは、マルチタスクが苦手なため、いろいろな仕事が重なると、大きなプレッシャーを感じてしまいます。
そんなときに、心がけるとよいのは、ひとつひとつやっていこうと思うことです。
もともと一つずつ取り組む事は得意なので、目の前の仕事とは関係ないことは追い払って、順番に片づけていきましょう。
また、繊細さんはいろいろなことに気づきやすいため、あらゆることに対応しようとしてしまいます。
その場合は、「気づく」と「対応する」を分けると考えやすくなります。
気づくことは止められませんが、それに対応するかは選ぶことができます。
やるべきことが次々出てきて、時間がかかりそうに思えたら、気付いても対応しないという選択も必要です。
なぜか、いつも忙しくなり、仕事が溜まっていくというときは、気付いたことすべてに対応しようとしていないかを振り返ってみる。
心身ともに健康に働くためには、対応すべきことを自分で選んで、致命傷じゃなければ、対応せずに放っておくことも大切です。
まとめ
嬉しい、楽しい、ほっと安心する。
毎日の小さな本音を叶えることで、心が充電されていきます。
本の中で、著者である武田さんの体験も含めて、様々な繊細さんのエピソードが掲載されています。
より具体的に特徴について理解できるようになっています。
HSPとしての生き方、考え方を教えてくれる本でした。
ブックカバーのやさしい色合いや、手触りの良さまで、繊細さんにやさしい本です。
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